最近の・・・dernierement・・・

カテゴリ:映画( 33 )

最近観た映画『悪魔の人形』(1936米),『イングロリアス・バスターズ』

最近…でもないけどここのところ観た映画は

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『フリークス』のトッド・ブラウニング監督『悪魔の人形』(1936米 The Devil-Doll/ Les poupees du diable)。
『フリークス』をかつてのアートシアター新宿「黙壷子フィルムアーカイブ」で鑑賞したときはしばらく悪夢にうなされたぁ〜。『ピンク・フラミンゴ』ノーカット版が併映というおまけ付きだったし。観なければよかった…と後悔することしきりであった。
でも本作は会社がしっかり監視したのか(?)グロさはかなり抑え目、お洒落な怪奇タッチに止まっててホッ。
共同経営者達のでっちあげの汚職で長年のムショ暮らした男が脱獄し、悪魔の人形を使って復しゅうする…という筋立て。マッド・サイエンティストの未亡人(髪型と演技があきらかに”フランケンシュタインの花嫁”のオマージュ)やら、人間の記憶を真っ白にして人形サイズに変換、殺人人形として思うがママに操るあたりが猟奇的で楽しいんだけど、話は途中で何故かホームドラマに。。。誤解から父を恨む娘と主人公の葛藤にシフトしてしまのであった。(これもプロデューサーの指図?)
が、そんな欠点を軽々と補ってたのは主人公を演じてるのが名優ライオネル・バリモアだから。玩具屋の老嬢に変装とか実に楽しそうに演じてる。『ノーブレス・オブリージュ』のアレックス・ギネスを思い出したけど、あっちの方がオマージュなのか??余計なはずの父娘エピソードも彼だからグッときた。

ライオネル、演技以外にも映画史に実に重大な功績を残している。
名優のジェームス・スチュアートが戦争経験の後、何もかも空しくなり俳優を辞めようかと思っていた時…
それを耳にしたライオネルが『人の心の琴線に触れるという事は素晴らしいと思いませんか?俳優というのは最も高貴な職業ですよ!』と思いとどまらせてくれたのであった。当時『素晴らしき哉人生!』で共演してたんですね。
(ピータ・ボグダノビッチ『ハリウッド・インプレッション』より)

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a0060003_901973.jpgそして、タランティノの新作『イングロリアス・バスターズ』(The Inglorious Bastards)。
実に快作であった。カンヌで最優秀男優賞を獲得したクリストフ・ヴァルツ演じる憎まれ役ナチの将校はもちろん、ブラピも悪くなかった。ダイアン・クルーガーは往年の女優の風格。ネタバレ厳禁なので一言でいえば、史実なんて(マイトで)ぶっばせ!!!!!ってカンジ。

…せっかくリバイバルされてたガス・ ヴァン・サント『マイ・プライベート・アイダホ』は見逃してしまった。。。
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by j-suguita | 2009-10-28 09:02 | 映画 | Comments(4)

「死の谷 Colorado Territory 」(ラオール・ウォルシュ 米 1949)

******** ネタバレあり。注意 ********

名作と誉れ高いラオール・ウォルシュ監督の「死の谷」をやっとアクション・クリスティーヌ Action Christineで鑑賞!



米映画ファン周知の通りこれは同監督が「ハイ・シェラ」(41)をセルフ・リメイクしたもの。
「ハイ・シェラ」の方はなんといっても主演ボギーの強烈な個性、ウォルシュ監督お得意の緊迫感溢れるカーチェイスの迫力で忘れがたい作品の1つ。ただ、堅気の女とヤクザの女の対比がちょっとかったるかった。
その点「死の谷」の方は本来のコンセプト - 「堅気者・ヤクザ者」を隔てるのは薄くて脆い壁に過ぎない、ということ - がど真ん中ストレートに来る。
「死の谷」の人物像は不誠実な堅気もの・更生を渇望するヤクザもの・性悪に生まれ悪の世界に生きるアウトロー・正直に生まれ正直に生きる正直者…と、ハッキリ。

「ハイ・シェラ」がコンセプト的にボケてたのは、そして「死の谷」がスッキリしているのは、
要となる「堅気のお嬢さん」と「ヤクザの情婦」の対比のさせ方の良否、と思う。

ー「ハイ・シェラ」では主人公が「堅気の世界の象徴」である足の悪い素朴な田舎娘(テレサ・ライト)に惚れ込む→手術費用を援助→足が治ったらたちまちダンスに興じるフラッパー娘になっちまったぜ。やっぱり俺と同じように更生を渇望するヤクザの女が良いぜ。。。という流れだけど、若い女の子が人生を楽しむのは当たり前やん、ピューリタニスムが鼻につくし、アイダ・ルピノの情婦もお上品過ぎてヤクザに見えん。

ー 「死の谷」では、「堅気の世界の象徴」として惚れ込んだお嬢さんは、主人公が更生の為に列車強盗して得た金をネコババしようとするわ、賞金欲しさに密告しようとするわ、もー滅茶滅茶。
ヤクザの情婦、こちらではヴァージニア・メイヨ。映画史上彼女のハマリ役として知られてるだけあって、ワイルドな魅力いっぱい。麻酔なしの手術はやってのけるわ、保安官を銃で脅すわ、傷口を焼いて消毒するわ、超男前。
ウォルシュ作品ではいつも、やったら男達が殴り合うけど、ここでは密告を封じようとする情婦と、密告したいお嬢さんのキャットファイトも。

そして、この2作品の決定的な違いは何と言っても結末。

******** 以下、ネタバレ。注意 ********



「ハイ・シェラ」ではハイ・シェラに籠り、結局射殺される主人公に涙するヒロインのアップで終わるが、「死の谷」はヒロインが保安官達を銃で脅し馬を奪取して、死の谷に篭城した男の元に合流。共に逃げようとするも、追っ手は大人数。その追手の群れに発砲する気丈なヒロインだが、所詮多勢に無勢、哀れ二人は蜂の巣に…という壮絶なもの。おそらく「ガン・クレージー(拳銃魔)」「俺たちに明日はない」にも影響を与えたんではなかろうか?

ラストシーンは、二人が逃避行前に立ち寄って寄付をした教会の修道士が「ある幸せなカップルが寄付をしてくれたんです。今頃メキシコで式を上げているでしょう」と言って鳴らす鐘のアップで終る。。。
イヤーーー泣かせるなーーー。てか、映画見て泣くってほとんど無かったけど、今回はウルウルっときましたよ。興味のある方は一見をお勧めします。

*余談
主演のジョエル・マクリーは西部劇スターとして知られているが、この11年後、サム・ペキンパーの「昼下りの決斗(原題:RIDE THE HIGH COUNRY)」でやはり西部劇スターのランドルフ・スコットと競演している。ここでは契約書を老眼鏡をかけて読む老シェリフの役を哀愁込めて演じているけど、考えてみたら「昼下りの決斗」はサム・ペキンパーの「消え行くジャンル - 西部劇」へのラブレターでもあったんだなぁ。
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by j-suguita | 2009-05-28 01:23 | 映画 | Comments(10)

久しぶりにMAC MAHON : 透明人間

最近、激しく私生活が不充実なことに気付き、ちっとは週末に出かけなければ、と思い立ち久しぶりにシャンゼリゼの米映画リバイバル専門館「MAC MAHON」に行って来た。古い良さを残しながらもキレイにリニューアルされててカンゲキ!
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今上映されているのは1933年版「透明人間」。
イヤー、今見るとつっこみどころ満載の合成とはいえ、当時の人達はびっくらしたに違いない。やはり冒頭の包帯グルグル巻き男がうらぶれた宿屋に表れるところはインパクト大!
子供から大人まで観られるようにセリフや人物は一部単純化されているが、ドイツ表現派風の陰影あるライティングが見事。透明人間が(恋人以外には)血も涙も無い誇大妄想男、というのも面白かった。
透明人間の恋人を演じた金髪の美人女優さんが「タイタニック」のおばあちゃん(海難事故から60年後のヒロイン)と知ってビックリ。

この夏は、その他に見たのは「超人ハルク」。
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エドワード・ノートンのような性格俳優がCG満載の娯楽作品に出るなんてミスマッチでないの???と興味津々だったが、彼の繊細な演技のおかげで荒唐無稽な物語にリアリティーが加味された、ってカンジ。心拍数が200/分を越えるとハルクになっちゃうので、いつも心拍数カウンターをつけてるのが可笑しい。で、せっかく久しぶりにあった彼女とエッチしようとしても200を越えちゃうので出来ないのが可哀そ可笑しい。
女優のリブ・タイラーはどうみても女性学者に見えないけど。。。父ちゃんの方が好きっス。
ティム・ロス(MR. Orange !!!!)のハルクのライバルは病的な執着が見事に演じられててナイス。

a0060003_7262764.jpg蛇足だけど映画館からでて普段ほとんど来ないシャンゼリゼをプラプラしてたらなんと観光客を乗せた馬車に遭遇!!他の通行人にまざってカシャッ。
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by j-suguita | 2008-09-01 07:28 | 映画 | Comments(13)

「ダーウィンの悪夢」

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イヤ、遅ればせですが日本でもフランスでも一昨年公開されたフーベルト・ザウパー監督「ダーウィンの悪夢」テレビで見ました。
プロバガンダだとか、賛否両論あるようですが、ウ〜ン、それでもすごい衝撃であった。

日本やEU諸国に輸出され、フランスのスーパーでも良く見かけるナイルパーチ、これは元は1954年頃にイギリス人による乱獲で減少したタンザニア、ケニア、ウガンダにまたがるヴィクトリア湖の漁獲高向上のために放された外来種だそうな。
で、もともと生物多様性の宝庫として「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた琵琶湖の100倍の広さのこの湖の生態系が、この大型肉食魚の為、固有種が激減し大きく崩れている。。

そして

打撃を受けているのは湖だけではなく、湖畔の人達の生活も、なのであった。本作ではタンザニアのムワンザの荒廃が描かれている。
ともかくも漁獲高は向上したにもかかわらず、この魚、地元の人には高くて手が出ない。切り身は地元民を素通りして日本やEUに切り身となって輸出される。利益はごく一部の資本家の元に。でも工場で働ける人はまだ良いけど、あぶれた人は戦争を待ち望んだり、売春をしたりして糊口をしのいでいる。・・・そしてエイズの蔓延、ストリートチルドレンの増加。

わずかな食物をめぐって拳骨で殴り合いをする小学校高学年くらいのストリートチルドレンがすごい痛々しい。日本だったらピコピコとゲームをやっているのような年齢なのに。。

まー、圧巻はやはり残骸の集積場でしょうか?
切り身は輸出されるが、アラは残る。それらは一カ所に集められ骨にのこった身を乾かして食べたり、頭部を揚げて売られたりする。画像を見ただけで臭気が漂って来る様なおっそろしい場所。
強いアンモニアガスが発生するため、ここの人達はみな咳をしている。そして、なんと眼球が落ちてしまった女性も。

個人的には、「プログラマーの学校に行きたいけど無理よね。。」と言っていた、売春婦のエルザのインタビューが印象に残った。私もwebデザインの学校に行きたくてお金を貯めてたのでウ〜ン...というカンジ。。。(ちなみに彼女の”料金”は1回10ドル。。。。。)そんな彼女も撮影中に客に殺害される。

しっかしもうナイルパーチはコワくて食べられん。。。
作品中には出て来なかったけど、あの状態なら抗生物質の投与や必要以上の餌による水質汚染とかありそう、、って、今時の安い食べ物はみな似たり寄ったりなんだろうけどね。

日本では西京漬け、味噌漬け、そして給食でも出されてるとの事なので今度スーパーに行く時は気をつけよう〜〜〜。。

公式サイトはこちら →

(*以上、色々ググってみたところ様々な意見の方々がいるようですので、上記あくまで私の個人的感想、ってことでご了承を!)
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by j-suguita | 2008-04-29 08:13 | 映画 | Comments(7)

シネマ・パンテオンと、巡り会い。。

a0060003_823091.jpg以前の記事で『シネマ・パンテオン残念ながら閉鎖』、、、などと大間違いを書いたのだが、同映画館は昨年立派にリニュ−アルオープンしたのでした。で、行ってみたいと思いながらも中々私好みの作品をやらなかったけど、大好きなケン・ローチの新作「It's a free world!」がかかったので早速行ってみた。

いつもは搾取される側を描くローチだけど、今回は視点を変えて移民労働者に不法労働させてピンハネする女性が主人公。
そんな彼女も、最初は利益だけではなく人情と親切心で仕事を斡旋して労働者から感謝のプレゼントを受け取るくらいなのに、徐々に手段を問わない守銭奴に、、、というこれまでとは逆の展開。いつものようにナチュラルな俳優達の熱演で(ドキュドラマというのだそうです。)見応え十分でした。

で、、、映画館に入場前にちょっとしたハプニングが。
連れのモノが「あれ、本人!!」と言うので何のこっちゃ、と思いきや、なんとローチ監督本人とすれ違ったというではないか!!!「追いかける?」と聞かれた私の脳裏には、走馬灯のように様々な考えが。。。
「私の人生のベスト作品のひとつは”ケス”です!と言おうかな?? しかし、40年近く限られた予算で地道に地味な作品を作り続けついにカンヌで大賞をとった人に、デビュー作が一番、、、なんと言うのは失礼にあたらないか?? あ、 でも昨年末にみた”明日へのチケット”はスンゴイよかった!俳優も最高! と言うかな??  ア! しかしワテは英語はフランス語以上に苦手なんだったァーーーウリウリウリ........」
....などと考えてるうちに、監督ははるか彼方に去ったのでした。。
切符売り場で聞いたら、間違いなくパリ訪問中の監督本人だということ。

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同映画館、カトリーヌ・ドヌーブがプロデュースしたというカフェはとっても感じよい!『映画好きな友人の家に招かれた様な』というコンセプトそのものの、ラフな雰囲気。ケーキも美味しかった。サービスも全然スノッブじゃなくて感じよかった。

a0060003_8385078.jpg座席は橙・茶のツートーンで座り心地もナイス、また好みの作品がかかったら是非行きたい〜。
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by j-suguita | 2008-03-25 08:39 | 映画 | Comments(2)

「明日へのチケット」 ローチ、オルミ、キアロスタミ !

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私の大好きなケン・ローチ、アッバス・キアロスタミと、名匠の誉れ高いエルマンノ・オルミの共同監督作品「明日へのチケット」がやっとフランスでも公開された! 映画離れが甚だしい私だが、これだけは見逃せん!!! ってことで、マイナス4度の厳寒の中、行ってきましたよ~。
ウ〜ン、まったく期待通り!

インスブルックーローマ間の列車内を舞台にしたオムニバス(といっても、各エピソードを微妙に交差させ一本の映画として成り立たせるというのが制作側の意図だそう)。

第一部 じーさんの恋:オルミ
出張先で知り合った美しく暖かい秘書に久しぶりのトキメキを覚えたじーさん教授。
テロで旅客機が軒並みキャンセル、孫の誕生日に間に合わせるためやっと予約してもらった列車に乗ったものの、心は孫よりバレリア・ブルーニ・テデスキ演じる秘書で一杯。
彼女を思いながら、遠い過去の淡い恋にも思いを馳せ "とっても人間的モード" になり、連結部の床に座る移民家族に対し、内気な彼としては大胆な、思いやりの行動をとる。
「木靴の樹」で有名なオルミ作品はこれが初観だけど、重厚にして繊細なタッチでじーさんの内面を見せ、1人で2つの席を予約したエリートと、連結部に座り込んだ5人家族の姿に、巧みにこの世の不平等を浮き上がらせている。

第二部 お仕置き&再出発:キアロスタミ
キアロスタミがいつもの映像美で、まともなコミュニケートが出来ない自己中おばばと、彼女に兵役義務として仕える無気力な青年のしょーもない道中を描く。
カンヌで大賞を取った「桜桃の味」「テン」といい、乗り物はお得意のテーマ。
偶然の出会いから少年時代の情熱を思い出した青年は、おばばに三行半をたたきつけ逐電。おばばには良い教訓になったことと思う。しかし、ワガママパワー炸裂オババでも、別の乗客からの根も葉もない言い掛りで凹む場面を入れたり、見捨てられて狼狽える場面を丁寧に描写しているところは流石。

第三部 施し:ローチ
なけなしの貯金をはたき、地元チーム、セルティックの応援にローマまで駆けつける、同じスーパマーケットで働く三人組。
ここでもアルバニア移民家族がキーとして出て来る。第一部の教授同様の思いやりの行動を、この三人組は冒頭であっさりとやってのける。このコントラストが面白い。
・・・そして、更なる施しの試練が待ち構えているのであった。
前々作「スウィート・シックスティーン」で見事なデビューを飾ったマーティン・コムストンとウィリアム・ルアンが相変わらずナチュラルな演技を見せてくれる。(どうしてケン・ローチの役者たちって、ああ自然に上手いのだろう ??)
ここのところシリアスタッチの作品が多かったが今回は独特のユーモアもたっぷり、ケンちゃんありがとう!

ここのところ鑑賞した作品は、その他

マイケル・ムーアのアメリカの医療民間保険の酷さを描いた「シッコ SICKO」
あまりにもプロパガンダ的な「華氏911」はがっかりしたけど、今回はいつものムーア節満開、いーぞっ!!
ただ、他国の充実した保険制度との比較・紹介がされていたがフランス医療の描き方がちょっと甘かったので(あんな絵に描いた様な天国じゃないですよ)「ロジャーと僕」「ボーリング・フォー・コロンバイン」ほどはのれなかった。
もっともムーア監督、その辺は百も承知で、「カナダの国民健康保険は破綻しかけていますよ」というジャーナリストに、「じゃ君はアメリカ式の方が良いと思うかい?思わないだろう?そこが描きたかった」ということ。


ガス・バン・サントの新作「パラノイド・パーク」
実験映画のような美しい画像には引き込まれたし、主人公の内面が少ないセリフ、微妙な表情などでとてもよく表現されてるけど、う~ン、、あまりにも内向的で閉塞的。。
映画というのはもちろん内向的なものだけど、先の崇高なる名作「エレファント」は数人の内面をモザイクのようにちりばめる事で一つの世界が構築されていたように思う。映画には”展開”を求めてしまう私には、ちょっとモノ足らんかった。


若松孝二の「胎児が密猟するとき」
これも、緊迫したダイナミックな映像美には圧倒されたものの、あまりにも内向的で。。
プロットは、ある男が「俺だけの女が欲しい」と、女性を監禁して暴力で支配しようとするという密室劇。
インタビューで若松監督は「これは支配するもの、されるものを描いた政治の物語である」と発言されているが、「支配する側の男」の内面(親や妻に見捨てられるトラウマ告白の描写も緻密)に重点がおかれ、「支配される側の女」の心象風景はほとんど描かれない。(支配される側に声はない、という解釈も可能だけど)私にはちょいアンバランスに見えた。
 一番興味深かったのは、あれだけ縛り付け暴力を加えても男の妄想の中では、女はいとも簡単に縄を解き悪態をついて出て行ってしまう。物理的支配に成功しても精神的に「支配している」という充実感・達成感がまるで持つ事が出来ない、という部分。
実際、激しく暴君的なヒトって、案外寂しがりやさんだったりしますよね。
寂しいから支配しようとする。でも寂しい。で、又支配する。。。やっとられん。
万が一この手の輩とお近づきになっちゃったら、縛られる前にズラかるっきゃないっす。

と、以上。
で、ふと気付くとここ数年邦画をフォローしてない。。。
来年の目標は、日本のDVD屋さん通い!!!
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by j-suguita | 2007-12-20 08:19 | 映画 | Comments(9)

動き、と静止そして投影

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先日、映画通のTさんとお話をしていたら、小津安二郎の「麦秋」('51)の話になった。
有名な、踏切のシーン ーもうすぐ嫁ぐ娘(原節子)を思い父が感慨に耽るシーンー はワタシの心にも深く残っている。でも、Tさんの解釈は違った。
「小津は単に、静止した人物と、動く電車の対比が撮りたかったんだな。映画っていうのは動きで成り立っているんだから、ローアングルだけで作品が撮れるわけがないんだ。」
・・・なるほど。。

あらためて「麦秋」でググってみたら、やはり面白い説を見つけた。
中国で戦死した原節子の兄が重要な「非」登場人物として存在してるが、(原節子がエリートサラリーマンとの縁談を断って、子持ちヤモメ男と結婚するのは、ヤモメが大好きだった亡兄の親友だったから。)この「非」登場人物には、小津の親友の、そして「亡兄」と同じく中国で戦病死した天才監督「山中貞雄」が投影されている、というもの。
なるほど、そういう見方もアリか。
フランス映画ばりに暗くシニカルに江戸末期の人間模様を描いた「人情紙風船」が山中、若干28歳の遺作。

やはりTさん説では「麦秋」のテーマは"喪失""戦争で失われたものへのレクイエム"。
そう考えると非常に辻褄があう。
イヤー、私はこの作品、”ひとつの完成された天国の提示”だと思ってたんだけど、(実年齢は別として)まだまだ若輩者かもしれないー。
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by j-suguita | 2007-05-11 07:28 | 映画 | Comments(16)

東京の合唱(コーラス)

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ちょっと前のことですが、、、
フランスでも小津安二郎は高く評価されてる。時々特集をやっていて、先月も何本か上映されてた。その内一本が日本で見逃した「東京の合唱(コーラス)」だったので今回は行かなければぁ!ってことで行ってきた。満足満足。

「がっしょう」ではなく「コーラス」なのも、今回タイトルで知った。いかにもモダン好みの小津らしい。岡田茉莉子さんの父君である岡田時彦という俳優さんのハンサムでモダンでユーモアセンスのあること! アメリカ映画狂で、洗練されたルビッチのファンだった小津らしいキャスティング。子役時代の高峰秀子さんの美少女ぶり、おしゃま振り、も楽しい。

話は、不況のまっただ中だってのに社長とケンカして会社をクビになる若い子持ちのサラリーマンの話。彼には、苦学して大学を出た、という経歴がある。職業安定所に行ってもそうそう仕事はない。道端で見てる乞食が、パリっとした背広姿の彼を見て「あんな立派な人でも仕事がないんだなぁ、、」といってシケモクひろってるのが、当時の空気を反映してリアル。困った彼は妻子には黙ってトンカツやのサンドイッチマンなんかをやってる。その姿を又、偶然にも妻子が都電から「あっ、お父さんだ!」とかいって見つけちゃうんだよね。
で、妻は涙ながらに「あんなことまでして!」と非難しますが、夫は夫で他に仕様が無い。で、結局夫婦でトンカツやを手伝うようになるが、、、、とあとは見てのお楽しみ。

奥サン役の八雲恵美子さん(改名して理恵子さんになったみたい)が、元売れっ子芸妓さんだっただけあって、日本人形のような美しさ、優雅さ。。。同じ小津の無声映画作品「浮草物語」では、気っぷのいい旅回りの姉御女優を演じてカッコ良かったけど、その時のチョッと不良っぽいカンジとはうって変わり、気質の奥サンらしいカジュアルな品格を出してた。

ところで、この作品教訓はなんだろう、って思い。。
 ー「社長とケンカしてはいけない」
 ー「社長とケンカしてもなんとかなるさ」
 ー「社長とケンカしたきゃしてもいーけど、代償は払う事になる」
・・・って、これは観る人が判断しろ、ってことだろーな。

しかし、、、残念なのは小津の無声映画作品で現存していない作品が数多くある事。上記の「浮草物語」が幸いにも現存するのも、50年代に小津自身が同作品をリメークしたから。もう一度見てみたい、という事で焼き直しさせたものが残ったらしい。初期の作品ならともかく、キネマ旬報などで作品賞を総なめにした「また逢う日まで」'32(久我美子がチューするのとは別の作品)も、見られん。。。残った文献によると、家族が戦争によって離ればなれになることを描いて、間接的な、しかし力強い反戦映画になっているらしい。 (満州が建国され、五・一五事件がおき、ドイツでナチが第一党になった年にこんな作品を作っちゃう小津、やっぱり好きだ。。。) でも、外国のシネマテークの倉庫で幻の名作が発見されたりする事がタマにあるので、、、希望は捨てていません! 死ぬまでに、この作品を鑑賞するのが夢。

ア、関係ないけどこの映画街にやはり良い劇場があったけど、前を通ったら閉鎖してておそらく別の業種に変わる工事中だった。。。時代はDVDなんだなぁー。
(2007年3月26日付記:↑上のようなこと書きましたが、大勘違いでした。すんません。うれしいことに当映画館は改装され大変快適な映画館に模様替されたようです。今度いったらレポートさせていただきます。)

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by j-suguita | 2006-12-08 07:51 | 映画 | Comments(22)

やさぐれ姐御

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サブカル系は別段好きじゃない私ですが、、、
は、ハマってしまった!70年代東映ポルノに! ひょんなことからサブカル好きの方から池玲子さん主演の「やさぐれ姐御伝 総括リンチ(1973)」「不良姐御伝 猪の鹿お蝶(1973)」をお借りしてからアタマで極彩色の画面がグルグルまわってるーー。特に前者は石井輝男監督なので絵がバッチリ美しい。話はメチャクチャだけど。池玲子おねーさまは、ボイン(あえて使ってます)もさることながら細長い足と日本人離れした顔立ちに見とれてしまう。堂々たる脱ぎっぷりが実に爽快!内田良平という人が、スゴくいい味だったので調べたら銚子の人なので何となく親近感。法政大学出てから杉浦直樹、小松方正と劇団やったり『ハチのムサシは死んだのさ』作詞したり面白い経歴の人なのね。巡業先で60才で急死したっていうから俳優としては大往生だなー。
後者の方で共演の熟女三原葉子さんという方はピンク女優のはしり、っつーことでさすがの貫禄。

その他調べてたら、同じ東映ピクチャーで「不良番長・猪の鹿お蝶」なんてのがある。こっちは宮園純子さん。で、こっちは男優陣がスゴいいいい!
梅宮辰夫、谷隼人、千葉真一、克美しげる、菅原文太、左とん平と由利徹ときてて、う〜ん、なんか見たくなっちゃったなー。
しかし、この手のサイトってあるもんですなー。みなさん、お仕事も忙しい中真面目に調べてキチンと掲載なさって、日本人って几帳面だなー、と思ったのでした。
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by j-suguita | 2006-11-08 09:26 | 映画 | Comments(8)

Kenちゃん おめでとう

本日、カンヌ映画祭の授賞式があった。
パルムドール(最高賞)はケン・ローチ監督の「THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY」が受賞。
ケン・ローチが60年代に撮った「ケス」は個人的ベストのひとつ。

「ケス」は、落ちこぼれの労働者階級の少年が、チョウゲンボウの飼育をすることに心のよりどころを得るが・・・という内容で、こう書くと悲惨な話だが、全体はドキュメンタリー畑出身の彼らしく、淡々とどこか飄々としたタッチで描かれている。特に、サッカーコーチを思い込みの激しい困ったちゃん、としておちょっくて演出してるところは笑っちゃう。きっとこういう人が実際にいたんだろう。こういうクールな感じをイギリス風、というのかな?

彼は常に社会問題をテーマにした作品を撮ってるが、無理解な両親の為最後は発狂してしまう娘を描いたひたすら悲惨な「ファミリー・ライフ」、懸命に生きる日雇い労働者の実情を"ケス"同様クールにちょっと可笑しく描いた「リフラフ」、珍しく時代劇の「ブラック・ジャック」、社会制度の濫用で母性愛に満ちていながらも次々と親権を剥奪される女を描いた悲惨な「レディバード・レディバード」、戦場…ではなく戦争を描いた(これはすごい事だと思う)「大地と自由」、そして「カルラの歌」「ブレッド・アンド・ローズ」あたりからちょっと説教くさくなって、なんかなーと思ってたら数年前の「スウィート・シックスティーン」で、15歳の母思いの不良少年の転落を緊迫感をもってリアルに描いて、健在ぶりを示してくれた。

受賞作はアイルランド独立闘争を描いた作品とのこと。
そんなことがあったことすら知らない私は公開が楽しみ。
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by j-suguita | 2006-05-29 07:26 | 映画 | Comments(8)