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カテゴリ:映画( 32 )

パリ日本文化会館「三隅研次・加藤泰 監督特集」

日本映画は小津、成瀬などの50年代の巨匠が大好きで60年代以降のヤクザ映画などは邪道…と思い込んでいた私だったが。
この度、邪道ってステキ!と思うフェスティバルが。
パリ日本文化会館で「座頭市シリ-ズ」の三隅研次監督、「緋牡丹博徒」の加藤泰監督の特集が組まれ約20本が上映された。

座頭市シリーズ第一作「座頭市物語」これは私の観た日本映画ベスト10に入る完璧な名作…



目を見張るカメラワ-ク、カット割。何より素晴らしかったのは、敵役の天地茂。
ここでは憎々しい敵役ではなく、座頭市とはお互いにレスペクトしあい友情をはぐくくみながらもラストではお決まりの決闘をする。
この男同士の友情だが…友情というより…あの行動はまるで恋だね!
ゆっくり飲もうとさそう天地、そこへ親分からの連絡が。とてもザンネンそうに「また会えるかな?」「へぇ」「また、ちょくちょく会えるかな?」このやりとりの熱く濃いこと。そしてラスト、倒れる天地を支える市の固い抱擁…これがこの男臭い名作に、悩ましさを加味してるぜ!

「緋牡丹博徒・花札勝負」「緋牡丹博徒・お竜参上」



ともかく藤純子さんの、完璧な美しさにキョウガク。。。まさに浮世絵から出てきたような美女が気品とエレガンスを保ったまま、啖呵、死闘をする格好良さ。立ち回りのシャ-プさも見事!
両作それぞれ、高倉健、菅原文太が助演している。3作目では立ち回りシーンで健さんが「お竜さん、あっしから離れるんじゃありやせんぜ」と、喧嘩は男の仕事…なノリで主役をくっちゃってる感もあるが。でもこのシリーズが安定した人気となった6作目での菅原文太は、むしろ花を添えていてる存在で、60年代のウ-マンリブパワ-を感じる。
ラストの死闘で少しずつ髪と着付けが乱れて行く様は壮絶な色っぽさ。ひとつザンネンなのは3作目も6作目も、緋牡丹お竜がモロ肌脱いで背中の刺青を魅せて啖呵を切るシーンがないこと。wikiでみたら藤純子さんは肌を見せることにとっても抵抗があったんだそうな。

その他「眠狂四郎」シリーズでのちょっと毛色の変わった「眠狂四郎、無頼剣」
こちらのブログでよく解説してくれてるので詳しいことは省くが(ネタバレあり)
これも天地茂が助演、市川雷蔵をくってしまう程の存在感で、当初は犯罪者ながらも正義感に燃えた人物でつい応援したくなるのだが、実は狂ったテロリストなのであった。赤軍テロなどで揺れていた当時の世情を思い出した。「敵討ち」などに身をやつしているといつか方向性狂っちゃうよ、というメッセ-ジか? そのテロリストの天地が最後の最後に見せる、狂ってない部分…感性豊かな優しさ…が復讐のむなしさを浮き彫りにして、また良かった。

そして、異作中の異作「男の顔は履歴書」
戦後焼け跡の闇マーケット住人と三国人マフィアの死闘の話なのだが、こんな目茶目茶で面白い作品は観たことないぜ!もう少しシナリオを整理すればサブカルの異作ではなく不朽の名作になれただろうが、そんな型にはめるのももったいない感もあり、この混沌さが良いのかも。主演の安藤昇は本物の893だったそうだ。まだ若い菅原文太が、「レザボア・ドッグ」のミスター・ブロンド並みの狂いっぷりを見せてくれる。

その他、座等市シリ-ズの第六作「座頭市 血笑旅」。差し込みをおこした子供連れの女性に、市が親切心から籠を譲ってやるが女性は市と勘違いされ殺されてしまう。市は責任感から生き残った赤ん坊を連れて旅をするがだんだん情が移り…という設定。すでに定番となったシリ-ズ中ちょっと毛色の違ったものを作ってみた、という感じで楽しかった。

それにしてもこの特集、フランス人の若い男の子がSNSで紹介してくれなかったら見逃すところだった!「三隅研二はとってもファンだけど加藤泰は知らなかった。知ってる?」という問いに、日本文化のフランスでの浸透を感じたのであった。

私がフランスに着いた1990年当時は、ごく一部のインテリ、裕福で日本工芸に親しんでる人以外は、「日本ってどこ?」くらいの認識だったけど、こうやってサブカル的なもへの認識も着実に増えているようで、日仏友好上、大変けっこう!
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by j-suguita | 2012-02-24 06:57 | 映画 | Comments(0)

大晦日駆け込みラストエントリー

フト気づくと、もう2ヶ月更新していないのか。。。
いつもなら最低月2回の更新を心がけてて、この間も「ドイツ映画フェスティバル」「冬至の短編映画特集」「ポンペイ展」「フランス野鳥の会ワークショップ」など色々楽しいことはあったんだけど。イタリア旅行の怒涛の連続17回アップで燃え尽きたのか(笑)

a0060003_0172486.jpg「ドイツ映画フェスティバル」
www.festivalcineallemand.com

面白そうなのが沢山あり、特に年配の女性と子供のロ-ドム-ビ-...というのがすごく観たかったんだけど平日の昼間上映なのでザンネン。「ザ・ポール・ダイアリーズ」と「優しい隣人」を観る。
前者 Pollは、第一次大戦前夜のロシア帝国支配下にあるエストニアの(架空の?)町Pollが舞台。複雑な家庭に息苦しさを感じる少女の、危険な夏の冒険にからめて時代を描く。すごく良く出来ていて、海辺の家のセットも見事!彼女がかくまうエストニア人作家の地下運動家が、イケメンで…。これなら知的レベルが高く文学に憧れる少女でなくてもイチコロ! 強いて言えばもうちょっと短くして一凝縮できたかも?


「優しい隣人」 Unter Nachbarn はヒッチコックの「見知らぬ乗客」を彷彿させる、最初はジワリジワリと段々過激に脅かされれるストーキングのお話。シナリオがかなり良く出来ていて(上映後の監督との質疑応答で言われていたように、つっこみどころもあるのだけど)映像も美しくとても気に入った。まーこの映画の教訓は『こころならずも過失で犯罪を犯してしまったら、すぐ自首しましょう』だな。
まー今の世の中は『英語』が中心に回ってしまっているけど、それ以外の語圏でも素晴らしい映画があるのを忘れちゃ損だな。

a0060003_0152125.jpg「冬至の短編映画特集」
www.lejourlepluscourt.com

一年で一番短い冬至の日にパリ、トゥールーズ等で短編映画上映会をしよう、という粋な企画。近所の”L’Entrepôt”でFormat Court が主催する上映会に行って来た。11本のハイクオリティーな作品をアニメあり、超ブラックユーモアあり、テロリストに恋してしまい政治活動に巻き込まれ逮捕され精神病院に…という悲惨な実話をお洒落でスタイリッシュにサラッと描いた作品も。観賞後はキールを飲んで徒歩で帰宅。パリっていいな〜と思う。

「ポンペイ展」
マイヨール美術館の「ポンペイ展」へ。残された数々の遺跡を鑑賞。CGでの再現DVDとか…今、このタイミングでみると津波を想像思い起こさずにいられん。。

あ〜ちすと12月の展覧会出品
a0060003_0165541.jpg「自宅展」では、久しぶりのお友達も来ていただき、とても楽しい時を過ごしました〜。皆さんありがとう!

a0060003_0184399.jpg「フランス野鳥の会ワークショップ」の方、パリでの開催は今年が最後だそうでザンネン。


と、大晦日駆け込みラストエントリー。
ま〜振り返ってみると…本年は大地震、津波、福島原発事故という凄まじい社会的事件と(半世紀近く生きて、自分が重工業や科学、そして政治の勉強を1から始める様になるとは思いもよらなんだ) 個人的には初のイタリア旅行、という2つの大きな出来事があった年であった。

本年も粗ブログに遊びに来て下さった方々、ありがとうございます!
来年もヒマな時に遊びに来ていただければ幸甚でございます。

よいお年を〜。
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by j-suguita | 2012-01-01 00:26 | 映画 | Comments(0)

ジョン・フォード監督「タバコ・ロード」 (米 1941) John Ford : Tobacco Road

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名作の誉れ高いけど同監督の「怒りのぶどう」に比べると知名度と上映率がグッと低い「タバコ・ロード」がリバイバル上映されたので行ってきた。(アクション・クリスティーヌ Action Christineさんありがとう)

コールドウェル原作の本作は「怒り...」と違い、不毛となった南部の土地に固執し前進しようともしない怠惰な老農夫とそのプア・ホワイト家族が主人公。

軽度の知的障害のある10代の息子が、財産持ちの中年女性と結婚するや彼らの車の転売を図る(もちろん失敗)...12才の娘を結納品目当てに嫁に出す... その婿が、家出した妻の行方を探しにやって来ると、家族中で羽交締めにし農作物を奪う...とても自己投影出来るような人物ではない。(本当は「怒り...」のけなげな主人公たちよりこういう人の方が我々に近いんだけど)ラストに少し光が射すが、長い目で見たら彼らの前途は尻つぼみなのは明白。

フォードはいつものように南部の不毛の農地さえ詩情豊かに美しく撮っている。もとが舞台劇なのでオーバーな演技、悲惨すぎるプロットを緩和するためのコミカルさが滑って見えた点はイマイチだったけど、全体的には拡張高い人間ドラマだった。尚、ほぼノーメイクで泥だらけ、裸足の娘を演じるのは若き日のジーン・ティアニー。色仕掛けで奪った大根にかぶりつく演技など、役者魂のある女優さんだったんだなーとあらためて感服。

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スコア:


しかし、こんな今だから思ったが、主人公の様な土地への執着...言い換えれば尊敬と愛着はもちろん、私は生まれて此の方「土」というものについて考えたことすらない。大地から採れたものをいただいて生きてるというのに。もちろん、人それぞれメチエというものがあるが、我々は土への尊敬、感謝ををあまりにもないがしろにしてたかも。

...で、またそこかよ! と言われそうだけど、もし我々が上記のじいさんのような気持ちを一ペタでも持っていたら... 今回のような「すぐに健康に問題のない」程度の事故でさえ周囲数十キロの土を汚染する原発の建設を許しただろうか?そういう意味でも本作にはいろいろと考えさえられたのでした。

* 付記
福島県で3月24日朝、野菜農家の男性(64)が自ら命を絶った。
男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、土壌改良を重ね種のまき方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていた。「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと」。そう言って安全な野菜づくりを誇りにしていたという。

ご冥福をお祈りするばかりです。

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by j-suguita | 2011-05-04 05:13 | 映画 | Comments(2)

し、死ぬなっ!!!「イントゥ・ザ・ワイルド Into the Wild - 荒野へ」(ネタバレあり)



ショーン・ペン監督の「イントゥ・ザ・ワイルド 」(Into the Wild)DVDで鑑賞。
(原作はジョン・クラカワーのノンフィクション小説「荒野へ」)
フレッシュにして重厚、俳優達もナイス(主人公に恋する16才は「ランナウェイズ」でジョーン・ジェット役を大好演したクリスティン・スチュワート)悲劇的な結末もドラマチックで感動的なんだけど…。

以下、ネタバレあり

父と前妻の離婚裁判の泥沼の中で産まれた主人公クリスと妹。幼少時の家庭は険悪な雰囲気が漂い、トラウマに。父への恨みは深い。ハーバードへの入学も決まっていたが、すべてのしがらみを断って自分を見つめ直したい…という思いから放浪の旅にでる。
頭も性格も良い彼、行く先々で素敵な出会いに恵まれ、愛され、残る様に請われるが、究極の目的 - アラスカの荒野に身を置き、完全な孤独の中で自分を見つめ直したい - は強固で、北へとまっしぐらに進んで行く。
そしてついにアラスカへ。歩いて川を渡り、キャンピング出来る廃バスも発見、狩猟をしながら読書し、瞑想し、そして幸せは分け合って初めて本物になると気付き、人間社会に戻ろうとするが…春先に足で渡った川は、雪溶けで激しい濁流となっていて向こう岸にたどり着くのは不可能。
そして飢餓に苦しんだあげく誤って毒草を食べ、息絶える。死ぬ間際に初めて両親を許し、愛し…って…

死んだら何にもならないんですけど!!??
何でも「聖地」としてこのバスを訪れる若者が後を絶たないそうだが。。。
こらっ、死ぬなっ!!!と言いたい。

自然に対する知識・経験が浅薄なのに単独キャンピングする事がすでに無謀だが、クリス君はむしろ予備知識無しに行きたかったのだろう。旅行前にガイドブックでチェキする人(私)と、新鮮な感動を期待してあえて下調べしない人がいるように。自然とはそんなに都会人に都合良く出来てるものじゃないのに。毒草食べて「アラスカの自然の罠にはまった」と言われても、ねぇ。。

もちろんショーン・ペンは自然教育の必要性を訴える為に本作を10年もかけて制作したわけではない。これはピュアであるからこそ起こった遭難事件で、「さらば青春の光」のような真摯さと不器用さの果ての悲劇である。

ラスト、カメラに残っていた、マジック・バスを背にした本人の幸せそうな笑顔を見て、どうしようもなくやるせない気持ちになったぜ!

…ってショーン・ペンの罠に見事にズッポりはまったということか。。。


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by j-suguita | 2011-02-22 10:19 | 映画 | Comments(4)

全米が泣いた - 映画「ザ・ランナウェイズ The Runaways」

いや~映画見てこんなん泣くのって十数年ぶり。

冒頭のジョーンがこづかいはたいて革ジャン買うシーンで既にウルウルッ。私が30数年前にやった事じゃん。ラストの”登場人物達のその後”でジョーンの再生・成功は百も承知なのに、やっぱり泣いちゃったぜ!



ジョーン役のクリステン・スチュワートは全く彼女そのもの。言う事ナシ!
無事革ジャンを手にして駆け抜ける彼女のバックに流れる「ワイルド・ワン」もナイス。

シェリー役のダコタちゃんは、うーん、ルックスも声も可愛いすぎてロックってカンジじゃないし丸顔で血色の良いジャンキーというのもちょっと 。。シェリーの妹役のライリー・キーオの方が容姿がよく似てたしライリーの方が良かったかも…
…などと思ったけど、ランナウェイズ知らなかったあ~ちすとは、ダコタちゃん良かったと言ってるので、あくまでフィクションとして観るべきなんだろう。それと、一見大人びて見えたシェリーの内面は実際はこんな風だったかもしれない。

この機会にランナウェイズがバンドとして悪くなかった事を再認識。わずか17-18才の少女達が自作曲でこれだけのライブをしたんだから! ともかく格好良かったし迫力あったし感性豊かな日本の少女達が夢中になったのも当然。



若い主役達を引き締めてるのがプロデューサー役のマイケル・シャノンの怪演。やり過ぎ、の声もあるようだが全体若いトーンなので、達者な演技を観せる人が一人いて良いと思う。彼の「セックスだ!暴力だ!反逆だ!」で70年代当時これらがすっかり「商品」と化していたのが良く描かれてた。

というわけで、久しぶりに揺り動かされたのだった。



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***付記***

  • リッチー・ブラックモアの彼女だったリードギターのリタ・フォードの扱いが小さくてちょっと気の毒。彼女もその後ソロで活躍したけど、ラストの”その後のメンバー”はジョーンとシェリーの紹介のみで、40代半ばで癌で亡くなったドラムのサンデーの事も出なかった。でもまー二人が中心の映画なので、散漫にしないために仕方ないのだろう。

  • 来日時に出演した「スター千夜一夜」で志垣太郎に「下着姿がセクシーです」と言われてシェリーがもろウンザリ!という顔をしてたっけな。

  • やはり来日時に出演した「夜のヒットスタジオ」で、小柳ルミ子と旧知のおばあさんが涙の対面し泣きながら座席の方に行ったら、ランナウェイズ全員が席を立って譲ったのは、しばらく語りぐさだった。

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by j-suguita | 2010-10-03 02:53 | 映画 | Comments(24)

パリシネマ映画祭 : 山中貞雄 大回顧上映

a0060003_2265319.jpgパリシネマ祭、今年は日本がテーマで山中貞雄・大回顧上映を!…といっても、この わずか28歳で戦死した名監督の遺作、プリントが現存しているのは3作のみ。以前TVで観た「人情紙風船」はあまりにも素晴らしく、劇場で鑑賞したいと思ってたので上映日は代休をとって集中鑑賞!


上映作は「人情〜」の他、「丹下左膳」と歌舞伎で有名な「河内山宗俊」。

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クールで洒脱なユーモアは落語のリズム。昔の日本人 ( 江戸人?) は醒めた視点持ってたんだなぁ。
原作のニヒルなイメージと違い、弓屋(ゲーセン)のお上の尻に敷かれたニート野郎に描かれているので原作者は不満だったらしい。
さらにwikiによると本作、占領軍下の検閲によってチャンバラ場面が削除されたようだ。しかしその分、たった2箇所の殺陣が(それもすごく短い) 閃光のように煌めく。



a0060003_2395866.jpg河内山宗俊 [DVD]
河原崎長十郎の眼力の迫力と凄み、中村翫右衛門の脱力な味わい。16歳の原節子の美しさ・品のよさ。( 強いて言えばお茶屋の娘に見えないのが難点)本作、歌舞伎ではラストで大立ち回りがあるが、これも映画版は占領軍によって削除されたもよう。
Quelle connerie !


そして

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日本映画史上の至宝として知られる本作、河原崎長十郎の浪人、中村翫右衛門の髪結い新三。今さら言う事は何もない。
が、平身低頭で仕官を懇願する悲惨な浪人と、命がけでヤクザの大親分をおちょくるフリーのチンピラ新三のコントラストに、生き方(と死に方)のヒントが見え隠れしている気がする。『とりあえず大企業にぶら下がっていれば安泰 』 な時代の終わった現在においてはますます。

ともかく、天才監督 山中貞雄は日本映画史上に残る名作と、現存しない十数本の作品を撮って戦場に散った。

- Quelle connerie la guerre ! -

上記3作は最強の反戦映画でもあるのだ。
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by j-suguita | 2010-08-15 22:29 | 映画 | Comments(4)

アクション・クリスティーヌ:魅惑のラインナップ

アクション・クリスティーヌで刑事もの特集をしてたので何作か鑑賞。狙ったわけではないがロバート・ライアン出演作品が多くなった。

Crossfire 「十字砲火」
人種差別糾弾もの。R・ライアンが病的差別主義者を好演。ロバート・ミッチャムがめずらしく、友人の濡衣を晴らすのに奔走する良いヤツ役で、案外似合ってた。レッド・パージで仲間を売った裏切り者として知られるエドワード・ディミトリク監督作、というのも運命のいたずらか。

a0060003_5465684.jpgOn Dangerous Ground 「危険な場所で」ニコラス・レイ監督
ストーリーそのものは血も涙もない鬼刑事が、愛情豊かな女性に出会って人間性を取り戻す、、、というたわいないものだが、やっぱ撮り方がすごい!!! 52年度作品だが野外撮影シーンはニューシネマ的新鮮な風が吹きまくり。それと犯人である精神不安定な少年のキャラが(残念ながら)次世代の犯罪パターンをしっかり予言してしまっている。延々としたアイダ・ルピノのお涙頂戴シーンはシラケたが(プロデューサーの介入?)これがなければモアベターだったろう。
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ジュールダッシンのNaked City「裸の街」
評判通り良く出来ていてバリー・フィツジェラルドも温かみある名演技。ロケの多用などニューシネマ的の走り…といわれているが、私的には上記ニコラス・レイの「危険な場所で」の方が「ニューシネマ」な空気を感じられた。もちろん、オーソドックスな佳作である事に変わりなし。
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House of Bamboo「東京暗黒街・竹の家」サミュエル・フラー監督
ロバート・ライアンがパチンコで財をなした在日ヤクザ、彼を逮捕する為の捜査に協力する未亡人が山口淑子。さすが大陸育ち、美しいだけでなく、豊かな感情表現・英語のうまさ…やはり希有なスタアだったんだなと感心。ラストの、晴れ着のチビッコで賑わうデパートの屋上での銃弾戦がナイス。公開時、本作は”日本への偏見に満ちている”と日本の批評家に評判悪かったらしいが(畳の上の土足、たどたどしい漢字の張り紙などは確かに う〜ん。。)当時の日本の日常がよく描けてたと思う。早川雪舟のカリスマ性にもオドロキ。
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a0060003_5583216.jpgリバイバルのジョンヒューストン The Misfits「荒馬と女」
不思議な魅力を持った作品。退屈した部分もあったのに、見終わった後からジワジワ良さが込み上げてくる。
やったらリアルで、モンローもここでは「普通の女」(すごい魅力をそなえた美女とはいえ)。
周知のように脚本・原作は彼女の元夫アーサーミラーで、しかも彼女の役が映画用に追加されたキャラなこともあり、もしや実生活のモンローそのものかも?と想像。繊細さと裏腹の無神経な発言、他人への過度な期待、ヒステリー発作。。。前半でやたらダラダラと彼らの日常を描いているので(同監督の「イグアナの夜」同様)ラストの馬追シーンがより圧倒的に迫ってくる。ゲーブルがヨメに逃げられ子供達にも見放された哀れなカウボーイを熱演してたのに驚いて見直した。このラッシュを見て「俺の生涯最高の演技だ」ととても喜んでいたそう。公開前に亡くなったとはいえ俳優人生を満足して締めくくれてよかったと思う。
そしてモンゴメリー・クリフト … 自動車事故の後の作品だけど、デリカシーに満ちた演技には、私ごときが言える事は何もなし 。。。彼は50年代日本で大人気だったそうだが、彼の内面的デリケートさを理解してた日本女性の感性はホントすごいと思う。
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ふ〜、なんか書き疲れた。このあとパリシネマ祭日本特集で若くして戦死した山中貞夫の現存する3作品上映され、本当に素晴らしかったんだけど、また次回。

*** 8/1追加
「Clash By Night」フリッツ・ラング監督 1952年
さすがフリッツ・ラング、海を舞台にした暗い映像、ドラマチックな盛り上げ、規格外のキャラを持った登場人物達の描き方…俳優も良いし。これもロバート・ライアン、バーバラ・スタンウィク、助演時代のモンロー。もちろん観て損のない作品だが、本来は悲劇的な結末がハッピーエンドになっているので(当時はやむをえなかったのだろう)折角のラストが盛り下がってるのはザンネン。

「マカオ」 Macao ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督(降板後はノークレジットながらニコラス・レイが監督) 1952年
これもさすがスタンバーグ、異国冒険活劇なんだけど彼らしい耽美主義がいっぱい。謎のクーリーに中国美女、特に夜の港での漁船の間の追跡劇、釣り網がレースかオーガンジーのように美しい。
何故スタンバーグが降板したかはググったけどわからずじまい。勝手な想像では、エキゾチック嗜好の強いスタンバーグが引き受けたものの「爽快活劇」を要求され彼のスタイルに合わなかったのでは? R・ミッチャムのヒーローはスタンバーグにしてはやたら男っぽく、ジェーンラッセルも素敵なお姉さんだが、態度のでかいヤンキー娘…ってスタンバーグの感じではないし。助演に美人で演技派のグロリア・グラハム、W・ワイラーの「探偵物語」でも良い味出してたウィリアム・ベンデックス。
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by j-suguita | 2010-07-31 06:00 | 映画 | Comments(6)

「ハウス・バイ・ザ・リヴァー」House by the River(1950) フリッツ・ラング監督

a0060003_5144535.jpg
先週はアクション・クリスチーヌでフリッツ・ラング監督の知られざる名作「ハウス・バイ・ザ・リヴァー」House by the Riverを鑑賞。
この作品のDVDのボーナスに「エクソシスト」のw.フリードキン監督によるインタービューが納められているそうで、その中でラング監督が「人はすべて潜在的な犯罪の衝動を持っている」と語っているそう。
この作品の主人公も「偶然」「たまたま」殺人をおかしてしまう、という設定なんだが。
…しかし、しかし、この主人公、そもそもメイドに無理矢理キスしようとして拒まれ悲鳴をやめさせようともみ合っているうちに彼女を死に至らしめてしまう。。。という設定、被雇用者にセクハラをする時点で既に立派な犯罪者なんじゃ。。。
おまけに自首をすすめる弟を作り話で言い包めて死体遺棄を手伝わせるわ、その弟に罪をなすりつけようとするわ、健気な妻まで殺そうとするわ、やっぱフツーじゃねーよ、こいつ。

いつものようにドイツ表現派なドラマチックな光と影が見事!
特に夜の河に遺体の金髪が広がるところは美しくも恐ろしい。。。
俳優さんも人間の屑を見事に演じている。(ポスターの写真怖いっすね)
冒頭のバスタブの湯が円を描いて配水管に流れて行くところ、ラストの引かれたカーテンの輪が飛びところ…とか、ひょうっとしてヒッチコックにヒントを与えた??

明日、日本行きの飛行機に乗って年始年末バカンスに出発!
今回は短くて2週間ちょっとで戻って来ます。

皆様もよいクリスマスと新年を!
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by j-suguita | 2009-12-25 05:31 | 映画 | Comments(0)

「ハーヴェイ・ミルク」、「ボディ・スナッチャー」(米1956 ドン・シーゲル) と東亜亭のランチ

a0060003_763687.jpg上映を見逃した「ハーヴェイ・ ミルク」をDVDで鑑賞。イヤ〜期待通りにえがった〜。まず、普段内向的な作風のガス・ヴァン・サントが社会的テーマに挑んだのにカンドー。本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞したショーン・ペンが普段の男っぽい不良とはかけ離れたキャラになりきってるのにもカンドー。
ハーヴェイ・ ミルクという人は、自分のため、仲間のため、マイノリティー全体のため、ひいては人類の寛容性と真の解放のために戦ったんですねー。彼の暗殺直後の通夜の行進にはマイノリティーだけでなく「マジョリティー」とされている人々も多く集まったのもナットク。
ヴァン・サントらしい映像の遊びも散りばめられていて”社会もの”という分野に新風を吹き込んだのではないかな。オフィスのPCの壁紙は本作のものにし、些細な事でイライラする時は「ハーヴェィは自分のためだけじゃなく、人類の真の解放のために戦ったんだぜい!」と自分に言い聞かせてたりする。

a0060003_6155015.jpg
その前には、「ダーティー・ハリー」「突破口」で知られるドン・シーゲルの初期作品「ボディ・スナッチャー」を鑑賞。
1956制作だけど、特殊効果は殆ど無しなのでこの時代のSFにありがちな滑稽なところは一切ナシ、見事な照明とシナリオで最初はジワジワ、後半はガッツリと、日常の中の恐怖がリアルに迫って来たぁ〜。
あらすじは未知の生物体が(異星人なんだろうけど言明はされてない)人々の体と心を記憶ごと睡眠中に乗っ取っていくというもの。何しろ顔かたちと記憶はそのままなので、ごく身近な人しかその変化に気づかず、かえって異常を訴える人の方がノイローゼ扱いされてしまい、そうこうしているうちに小さな地方都市市民全員が異物化していく…というもの。彼らは『感情が無い』というスゴい強み(!)を持っているので黙々と使命を遂行していく。
最期に残ったもともな人間である精神科医とその恋人は異生物達の追っ手から必死で逃れるが。。。(続きは本編で)というもの。
この作品、共産主義を象徴している、というケチな解釈があるらしいが、いかにも冷戦時代の発想だね。。ドンはそんな小っさい人間じゃないぜ!それを言ったらハリウッドのレッド・パージだって同じくらい怖いぜ!
これは全体主義そのものとか、人間間のディスコミュニーケーションという事ではなかろうか。
本作はまがりなりにもラストに救いがあるのだけど、70年代に名優ドナルド・サザーランド主演で再映画化された際はアンハッピーエンドらしいですね。あまりにも暗いよ。。。

本作はアクション・エコールで上映されてたので、鑑賞前の腹ごしらえはパンテオン近くの『東亜亭』で。
パリの和食レストランは殆ど行かないけど、東亜亭さんは洋食屋さんなので、フレンチと和食の風味がえ〜感じにマッチしてる。ランチなら17ユーロから、と内容を考えたらお手頃!
この日は偶々キッチンの人手不足で給仕に時間がかかったんだけど、食後にシェフご本人がわざわざ謝りに来て下さってお茶をサービスしてくれた。その爽やかさにプチ・イライラなんか吹っ飛んだ!

a0060003_732187.jpg「東亜亭(asia-tee)あじあてい」
47, rue de la Montagne Sainte-Geneviève
75005 Paris
要予約(01.43.26.39.90)
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by j-suguita | 2009-12-14 07:32 | 映画 | Comments(4)

最近観た映画『悪魔の人形』(1936米),『イングロリアス・バスターズ』

最近…でもないけどここのところ観た映画は

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『フリークス』のトッド・ブラウニング監督『悪魔の人形』(1936米 The Devil-Doll/ Les poupees du diable)。
『フリークス』をかつてのアートシアター新宿「黙壷子フィルムアーカイブ」で鑑賞したときはしばらく悪夢にうなされたぁ〜。『ピンク・フラミンゴ』ノーカット版が併映というおまけ付きだったし。観なければよかった…と後悔することしきりであった。
でも本作は会社がしっかり監視したのか(?)グロさはかなり抑え目、お洒落な怪奇タッチに止まっててホッ。
共同経営者達のでっちあげの汚職で長年のムショ暮らした男が脱獄し、悪魔の人形を使って復しゅうする…という筋立て。マッド・サイエンティストの未亡人(髪型と演技があきらかに”フランケンシュタインの花嫁”のオマージュ)やら、人間の記憶を真っ白にして人形サイズに変換、殺人人形として思うがママに操るあたりが猟奇的で楽しいんだけど、話は途中で何故かホームドラマに。。。誤解から父を恨む娘と主人公の葛藤にシフトしてしまのであった。(これもプロデューサーの指図?)
が、そんな欠点を軽々と補ってたのは主人公を演じてるのが名優ライオネル・バリモアだから。玩具屋の老嬢に変装とか実に楽しそうに演じてる。『ノーブレス・オブリージュ』のアレックス・ギネスを思い出したけど、あっちの方がオマージュなのか??余計なはずの父娘エピソードも彼だからグッときた。

ライオネル、演技以外にも映画史に実に重大な功績を残している。
名優のジェームス・スチュアートが戦争経験の後、何もかも空しくなり俳優を辞めようかと思っていた時…
それを耳にしたライオネルが『人の心の琴線に触れるという事は素晴らしいと思いませんか?俳優というのは最も高貴な職業ですよ!』と思いとどまらせてくれたのであった。当時『素晴らしき哉人生!』で共演してたんですね。
(ピータ・ボグダノビッチ『ハリウッド・インプレッション』より)

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a0060003_901973.jpgそして、タランティノの新作『イングロリアス・バスターズ』(The Inglorious Bastards)。
実に快作であった。カンヌで最優秀男優賞を獲得したクリストフ・ヴァルツ演じる憎まれ役ナチの将校はもちろん、ブラピも悪くなかった。ダイアン・クルーガーは往年の女優の風格。ネタバレ厳禁なので一言でいえば、史実なんて(マイトで)ぶっばせ!!!!!ってカンジ。

…せっかくリバイバルされてたガス・ ヴァン・サント『マイ・プライベート・アイダホ』は見逃してしまった。。。
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by j-suguita | 2009-10-28 09:02 | 映画 | Comments(4)