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「死の谷 Colorado Territory 」(ラオール・ウォルシュ 米 1949)

******** ネタバレあり。注意 ********

名作と誉れ高いラオール・ウォルシュ監督の「死の谷」をやっとアクション・クリスティーヌ Action Christineで鑑賞!



米映画ファン周知の通りこれは同監督が「ハイ・シェラ」(41)をセルフ・リメイクしたもの。
「ハイ・シェラ」の方はなんといっても主演ボギーの強烈な個性、ウォルシュ監督お得意の緊迫感溢れるカーチェイスの迫力で忘れがたい作品の1つ。ただ、堅気の女とヤクザの女の対比がちょっとかったるかった。
その点「死の谷」の方は本来のコンセプト - 「堅気者・ヤクザ者」を隔てるのは薄くて脆い壁に過ぎない、ということ - がど真ん中ストレートに来る。
「死の谷」の人物像は不誠実な堅気もの・更生を渇望するヤクザもの・性悪に生まれ悪の世界に生きるアウトロー・正直に生まれ正直に生きる正直者…と、ハッキリ。

「ハイ・シェラ」がコンセプト的にボケてたのは、そして「死の谷」がスッキリしているのは、
要となる「堅気のお嬢さん」と「ヤクザの情婦」の対比のさせ方の良否、と思う。

ー「ハイ・シェラ」では主人公が「堅気の世界の象徴」である足の悪い素朴な田舎娘(テレサ・ライト)に惚れ込む→手術費用を援助→足が治ったらたちまちダンスに興じるフラッパー娘になっちまったぜ。やっぱり俺と同じように更生を渇望するヤクザの女が良いぜ。。。という流れだけど、若い女の子が人生を楽しむのは当たり前やん、ピューリタニスムが鼻につくし、アイダ・ルピノの情婦もお上品過ぎてヤクザに見えん。

ー 「死の谷」では、「堅気の世界の象徴」として惚れ込んだお嬢さんは、主人公が更生の為に列車強盗して得た金をネコババしようとするわ、賞金欲しさに密告しようとするわ、もー滅茶滅茶。
ヤクザの情婦、こちらではヴァージニア・メイヨ。映画史上彼女のハマリ役として知られてるだけあって、ワイルドな魅力いっぱい。麻酔なしの手術はやってのけるわ、保安官を銃で脅すわ、傷口を焼いて消毒するわ、超男前。
ウォルシュ作品ではいつも、やったら男達が殴り合うけど、ここでは密告を封じようとする情婦と、密告したいお嬢さんのキャットファイトも。

そして、この2作品の決定的な違いは何と言っても結末。

******** 以下、ネタバレ。注意 ********



「ハイ・シェラ」ではハイ・シェラに籠り、結局射殺される主人公に涙するヒロインのアップで終わるが、「死の谷」はヒロインが保安官達を銃で脅し馬を奪取して、死の谷に篭城した男の元に合流。共に逃げようとするも、追っ手は大人数。その追手の群れに発砲する気丈なヒロインだが、所詮多勢に無勢、哀れ二人は蜂の巣に…という壮絶なもの。おそらく「ガン・クレージー(拳銃魔)」「俺たちに明日はない」にも影響を与えたんではなかろうか?

ラストシーンは、二人が逃避行前に立ち寄って寄付をした教会の修道士が「ある幸せなカップルが寄付をしてくれたんです。今頃メキシコで式を上げているでしょう」と言って鳴らす鐘のアップで終る。。。
イヤーーー泣かせるなーーー。てか、映画見て泣くってほとんど無かったけど、今回はウルウルっときましたよ。興味のある方は一見をお勧めします。

*余談
主演のジョエル・マクリーは西部劇スターとして知られているが、この11年後、サム・ペキンパーの「昼下りの決斗(原題:RIDE THE HIGH COUNRY)」でやはり西部劇スターのランドルフ・スコットと競演している。ここでは契約書を老眼鏡をかけて読む老シェリフの役を哀愁込めて演じているけど、考えてみたら「昼下りの決斗」はサム・ペキンパーの「消え行くジャンル - 西部劇」へのラブレターでもあったんだなぁ。
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by j-suguita | 2009-05-28 01:23 | 映画 | Comments(10)
Commented by 小坊主 at 2009-05-30 21:28 x
濃いなぁ。。。
監督は、みんな、結末のふたつやみっつ、持っていて、どれにするか、中々、決めきれないそうですね。
決められないままに、結末をふたつ、撮ってしまったり。

よって、セルフリメイク、理解できます。

私にとっての決闘は、やっぱり、OK牧場の決闘。
昼下がりなら、情事。
Commented by 管理人スギタ at 2009-06-01 01:34 x
ハイ、予想以上に濃かったっす。
私の勝手な想像だけど、一作目では制作会社の意向で女だけは生き残らせたんじゃないかな?(何の根拠もないですが。。)

ヴァージニア・メイヨは悪女役が多かったけど、ちょっと憎めない人間味やユーモア味もいつも持ってた。”男の中の男”ラオールだからヴァージニアの”男気”を見抜いて100%生かせたんでしょう。
Commented by 小坊主 at 2009-06-06 09:03 x
そういえば、私が見た中では、撃ち殺されるシーンの双璧は、「俺たちに明日はない」のラストと、ゴッドファーザーパート2?の、ソニーが撃たれるシーンです。
Commented by ずん at 2009-06-07 17:57 x
1の方だったような? 
でもたしかに、年代の流れから言ったら2になるんですよね。
ジェームス・カーンが高速道路で…のシーンですよね。名場面満載のGFの中でも特に見事でしたね〜。
Commented by 小坊主 at 2009-06-08 08:33 x
1でしたか。
料金所で、停車する場面ですね。
設定と、映像に、度肝を抜かれました。
Commented by クワ at 2009-06-11 14:44 x
斬られるシーンでは、黒澤の『用心棒』で冒頭に三船にやられるジェリー藤尾。ありゃ痛そうです。
Commented by 小坊主 at 2009-06-12 08:39 x
切られる時の擬音、昔は、実際に、吊るした豚を斬って、収録したそうですね。
殴る音も、肉を殴って。

今は、擬音、何でもかんでも、大げさの方向に行っていて、テレビなんか見てると、うるさいくらいです。
BGMも、やたら、うるさいし。
Commented by ずん at 2009-06-12 20:08 x
ほぉ〜、そうですか。
今度旧作を観る時は、耳もよくすまして聴きます。
Commented by 小坊主 at 2009-06-12 22:36 x
観る時、頭の中で、豚を、ぶった切ってみてください。
くれぐれも、私のイメージを重ねたり、なさいませぬやう。。
Commented by 管理人スギタ at 2009-06-12 22:48 x
いえいえそんな大それた事。。
まー、人はぶった切りのシーンを観るとき、大なり小なり誰かのイメージを重ねているんでしょうね。