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ザ・フー ドキュメンタリー Making of「Who’s Next」

相変わらず、35年の空白を埋めるべく、The Whoの後追いをして楽しんでおる。

Amazonでワイト島のライブテキサス・ライブ、それにドキュメンタリーが付いてお手頃価格のDVD3枚組があったので、ポチり。
ドキュメンタリーの方はオマケの位置付けだけど、これが「Who’s Next」制作の裏話でなかなか面白い!


以下、フランス語字幕を元にした雑記。(なので多少間違いがあるかも)

知られているように「Who’s Next」はピートの未完の大プロジェクト「LifeHouse」のために作られた曲をまとめたものだが、これはその制作裏話。ピート自身、ロジャー、ジョン(1999年の制作)とマネージャーのクリス・スタンプ、エンジニア達等にインタビューしてまとめたもの。

LifeHouse」は観客とグループがインターラクティブに一体になり、ステージと映画を組み合わせたもの、という構想だが、当時ピート以外誰も理解出来なかった。
だけど、今の時代にその話を聞けば、誰もがインターネットやiBeaconなどのIOTやプロジェクトマッピングの事…とピンとくると思う。技術的に早すぎる企画だったのか?

ピート「トミーとは違う状況で未来と希望を描きたかった。それで登場人物は近未来で、皆が同じスーツを着せられる社会に置く事にした。抑圧され監視される、カウチポテトな生活。シナリオライターと広告主、洗脳者に支配されて、形而上的な意味で三重苦になる。他者との交流も不可能になる社会」

クリス(当時のマネージャー)「ピートの考えが理解できなかったが、実はトミーの時も最初はそうだったが大成功した。それで、みんなで頑張ってトライしてみる事にした。」

ロジャー「全然理解出来なかった。でも”すべてを理解した時に音楽が聞こえて来る … Once there was a note pure and easy  かつて、澄んだ、簡素な音色があった…” で物語が始まるアイディアは素晴らしい!と思った」

劇場Young Vicのディレクター「ぜひここを無料で使って欲しい、と提供した」
ピート「一部をYoung Vicで撮影し、その後に映画フィルムの中に取り込みたかった」
ロジャー「劇場で曲を初めて聴いて覚え、そこでリハーサルが出来る…というのは初めての経験だった」
評論家「一種のユートピアを作ろうとしたのか?みながYoung Vicで生きるという?それともただパーティーをしようというだけだったのかが分からなかった」
ジョン「集まってきた人々と共生したかったみたいだけど、人々は夕飯時にはみんな帰っちゃったし。いまだに良くわからない」
ピート「他のメンバー達は理解不能なりに支えてくれたけど、成功するという確信を持っていなかった。それが自分のモチベーションを失わせた」

クリス「いっその事、最新機器が揃ったNYで録音しよう、とキットが提案。キット・ランバート(当時の共同マネージャー)はトミーのような大成功プロジェクトになるとまだ信じていたので」
しかし、クラブにバーにセックス…と誘惑に満ちたNYの街は制作には不向きだった。キットとドラマーのキース・ムーンは麻薬に溺れてしまう。そしてイギリスに戻った。デビュー時から彼らと仕事をするプロデューサーで録音技師のグリン・ジョーンズは、ともかくどの曲も素晴らしいから発表しては、と提言し、アルバムにまとめられ「Who’s Next」として発売され、The Who初の全英ナンバーワンアルバムとなった。

スタジオで録音技師(兼プロデューサー)のグリン・ジョーンズがBaba O’railey をベースだけ、シンセやドラムだけ…を抽出して解説、分析してくれる。ピートはこのアルバムから大胆にシンセを取り入れてる。

ロジャー「シンセサイザーは面白い、とは思った。でもうちのバンドには世界最高レベルのギタリストがいるのに、何故…と思うとフラストレーションを感じた」

エンジニアのボブロジャー「当時、シンセサイザーの部分はテープだった。だから、ライブではシンセに合わせてプレイしなければならなかった。キースはヘッドフォンを充てていた。タイミングがずれると観客はエンジニアのヘマでは…と冷たい視線を浴びせたね。テープが破けた事もあったし。楽しい時代だったよね、ハハ!」

ピートによるシンセの解説。デモテープも聴かせてくれる(ピートのデモは殆ど完成形なので有名らしい)ジョン・ポール・ジョーンズやウォーカーブラザーズ、ビーチボーイズを例に出して微妙なところを説明してるので機材に詳しい人には面白い部分だと思う。

ピートPure And Easy をアルバムに入れなかった事は本当に悔やんでいる。(The Song is Over の終わり際に出だしだけかかる)物語は There once was a note, pure and easy playin' so free, like a breath rippling by …から始まるのに」(現在ではボートラとして追加されている)




グリン・ジョーンズ
Going Mobile はライブで録音した。このギター、ベース、ドラム…これこそフーだ!」個々の音を抽出して(ボツにしたパートも含め)解説してくれる。

ピート「未来の世界では公害防止のため移動は禁止されている。だが登場人物はあえてGoing Mobile、旅に出る」

マイ・ワイフを改めてスタジオで分析して遊ぶエンジニアのボブとジョンの暖かい信頼関係が何ともいえずナイス!

皆によるキースの思い出話。次々と叩き続けて、時には床まで叩き続けた事があるという。
ロジャーがスタジオで、キースがいかに完璧なリズムでボーカルのブレイクに合わせてくれたかを説明。ロジャーの老眼鏡姿も一興!

ロジャーBehind The Blue Eyes の ”握った拳が開こうとする” はまったく当時の自分の気持ちそのままだ。俺が育った環境では「正しい奴」とは「喧嘩で勝った奴」という明快なルールがあった。だけどバンドでそんな事をしたら俺は首になっただろう(実際、キースを殴って一度クビになっている)。バンドは俺の人生そのものだった。だから何があろうと暴力は振るわない事を選び、封印した。」
(若い時のエピソードでは「道ですれ違ったらいきなりレンガを投げてきた」とか相当な暴力衝動男だったらしい)
ピート「ロジャーには彼なりの解釈があるが、俺にとっては愛による抑圧のフラストレーション…なんだ」

ピート「この大プロジェクトが実現しなかったのは本当に残念」
ロジャー「プロジェクトは実現しなかったが、何度もディスカッションし楽曲を深く理解してレコーディングできた。でなければ普通のアルバムのように録音されていただろう。」

ピートがWon’t Get Fooled Again を書いたのは、ファン達への切願からだった。
ピート「俺たちや他者に期待するな、と言いたかった。コンサートで俺がステージからボスとして指示を出す…なんて思わないでくれ。自分自身でハンドルするんだ」
「”10代の荒野 Teenage Wasteland ” や ”新しいボスに会ってみな。前のボスと同じだぜ Meet the new boss. Same as the old boss ” のメッセージは皮肉なんかじゃない、今でもそう信念を持っているんだ」
と。一途な人じゃのぉ。

その後、このプロジェクトの続編としてロジャーの大きなサポートを得て「Join Togather」を制作した。これは音楽が禁止された世界の話。…そしてスタジオでのこの曲のライブで終わるのであった。本来のプロジェクトとは比較にならない小規模なものだろうが、それでもラストにステージを降りてオーディエンスに揉まれ同じフロアでプレイする姿は元のプロジェクトとの繋がりを感じさせる。

その後「LifeHouse」はラジオドラマとして放送され、(おそらく)この作品の延長線上のピートの小説「The Boy Who Heard The Music」は最新アルバム EndressWire にロックオペラ Wire & Glass として収録されている。

…だれか資本のある人、「LifeHouse」プロジェクトを実現させてくれないかしらん?

Who's Next、Deluxe Editionだと上記Young Vicのライブがボートラに入っている。
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// その他のエピソード
My Generationでの大ブレイク以前、「ザ・フー」は野郎御用達のバンドだった。ステージからは男子しか見えないので「女の子達どこにいるんだ?」「後方じゃない?」でも奥も野郎で一杯だった… ww

グループは実は6人のメンバーで成り立っていた。キット・ランバートと、クリス・スタンプという二人のマネージャーの存在が無ければフーは続かなかった。(ロジャー首事件の時に取りなしたのもキット)
キットは常にピートをポジティブに励ましていた。「Tommyをロックオペラと称して良いかな?」「もちろんさ!」、「Tommyのストーリーってバカバカしいかな?」「オペラっていうのはみんな馬鹿馬鹿しいものだよ」など。

Pure and Easy の
”I listened and I heard music in a word and words when you played your guitar"
僕は詞(ことば)から音楽を聞き、君の弾くギターから詞(ことば)を聴いた」>
のくだり、ホント美しい。




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by j-suguita | 2015-11-30 06:55 | 音楽 | Comments(4)
Commented by mo8_a29 at 2015-12-01 14:34
「『ザ・フー』codyさんが好きなんだよ!」って娘に言ったら「しぶい!」だって。ところで以前は「野郎御用達」だったんだね。わたしは良く知らなかったけれど。
Commented by j-suguita at 2015-12-01 21:40
え〜〜お嬢さん、若いのにザ・フー知ってるんだ!かえって今の方が知名度高いのかな?

ワテも高校生の頃、よく知らなかった。
暴れん坊なライブで知られてるのに、Tommyみたいなオペラという古臭い(当時の感覚!)スタイルの制作もしたりする、掴みどころの無いバンド、ってイメージで。ファンは自分も楽器やってる子達で、敷居が高い…って感じだった。
あと、イケメンがいないし(今ではアバタもエクボ、ロジャーはイケメンと思ってるがww)

その後80年代に名画座で、彼らのアルバムを下敷きにした映画「さらば青春の光」で大感動して(5回くらい観た)サントラ盤購入、ついでにベストアルバムも購入、とりあえず2枚もってれば良いか…くらいのライトなファンだった。

音楽的にも可愛いポップなヒット曲もあれば、渋いブルースもあるし、シンセサイザーもいち早く取り入れてるし…幅広くて、ますます掴みどころ無いんだけど。

6月にライブ行って、ステージでは、激しい熱気で全てが一貫する…とわかったよ。
ピートの真摯な「本気」から来てるんじゃの〜と心打たれ、大ファンに。
Commented by mo8_a29 at 2015-12-02 09:08
なるほど・・・
『さらば青春の光』じゃの。
イケメンもいないからやっぱ『野郎の御用達』なんて言われてたのね。
英語はネックだけど聴いてみようかな。
映画観てみようかな・・・
Commented by j-suguita at 2015-12-03 06:36
音楽的には、激しすぎてあまりmoグさんの好みじゃないかもしれないが、映画はmoグさん好みかもしれないよ。