「地獄の英雄 Ace in the Hole, Big Carnival」('51) 米

ビリー・ワイルダー監督、カークダグラス主演
( 2014年3月に観た映画 )

ゆがんだ扇情ジャーナリズムを糾弾した作品。当時このような作品が作られていたとは!
興行収入が思わしくなかったそうだが、まだ人々の意識がここまでいっていなかったのだろう。
それで「Ace in the Hole 洞穴のエース」というストーリーそのままのタイトルから「Big Carnival 大祝祭」というタイトルに変更されたそうだ。


優秀でありながら、アル中のせいで有名新聞社を渡り歩いては首になっていた記者ダグラスは、地方の小新聞社に職を得、それなりに落ち着いて暮らしていたが…。しかし一年後、地方の洞穴の奥に地元の男が落盤で閉じ込められる事故に遭遇する。彼は小さな酒場を妻、両親といとなむ小市民であったが、妻との関係は冷えきっていた。贅沢好きな妻を喜ばせ夫婦仲を修復する収入を得ようとインディアンの遺跡の盗掘を計だて、遭難したのであった。地元の土木業者が懸命に早急な救出策を模索していた。

これはドラマチックなビッグスクープ!ダグラス記者と、救世主を演じたいシェリフが土木業者にどのくらいの時間がかかるか問いつめると「もちろんベストは尽くしますが…2日はかかります」と。冗談じゃない!2日じゃドラマにならない。さまざまな方法で業者を脅迫し、山の頂上から穴を掘る…というドラマチックな方法をとらせる。これなら一週間はかせげる。

それからは空しい大騒ぎが始まる。
大勢の野次馬、屋台、観覧車、励ましを歌うカントリー歌手(ついでに楽譜を売る)記者クラブetc…。心から心配する善良な老いた両親と、この喧噪がおわったらダグラスと都会に出たい妻の酒場は大繁盛。ダクラスはスクープを条件に、かつてのメジャー新聞社へのカムバックも決まる。しかし…
思いも寄らぬ悲惨な成り行きに良心を取り戻すダグラスと、「ダイヤルMを回せ」を彷彿させるラスト近くの展開(こちらが先)が、キリスト教的「罰」を思わせる。

カークは余裕とユーモアがあるかと思うと「スパルタカス」「探偵物語」「悪人と美女」など何かに取り憑かれた男、狂気をはらんだヤツを演らせても天下一品。

以下 ネタばれ ⇩




男の急激な肉体的衰弱を知り、スクープをあきらめ、土木業者に当初のスピード採掘方に切り替えるよう命令するダグラスだが「あなたの無理な指示で岩盤がすっかり脆くなっている。もはや今の方法で続けるしかありません」と。
ダグラスの私利私欲の為に自分の救出が大幅に遅れているのも知らず、ダグラスを信頼する男は死を予感し、神父の元で死ぬ事を懇願する。ダグラスが洞穴の奥まで誘った神父に「ありがとうございます。覚悟は出来ています」というところ、泣かせたなぁ。見事な演技であった。


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by j-suguita | 2014-05-30 07:10 | 映画 | Comments(0)

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