パリシネマ映画祭 : 山中貞雄 大回顧上映
2010年 08月 15日
上映作は「人情〜」の他、「丹下左膳」と歌舞伎で有名な「河内山宗俊」。
丹下左膳餘話 百萬両の壺 [DVD] COS-032
クールで洒脱なユーモアは落語のリズム。昔の日本人 ( 江戸人?) は醒めた視点持ってたんだなぁ。
原作のニヒルなイメージと違い、弓屋(ゲーセン)のお上の尻に敷かれたニート野郎に描かれているので原作者は不満だったらしい。
さらにwikiによると本作、占領軍下の検閲によってチャンバラ場面が削除されたようだ。しかしその分、たった2箇所の殺陣が(それもすごく短い) 閃光のように煌めく。
河内山宗俊 [DVD]
河原崎長十郎の眼力の迫力と凄み、中村翫右衛門の脱力な味わい。16歳の原節子の美しさ・品のよさ。( 強いて言えばお茶屋の娘に見えないのが難点)本作、歌舞伎ではラストで大立ち回りがあるが、これも映画版は占領軍によって削除されたもよう。
Quelle connerie !
そして
人情紙風船 [DVD]
日本映画史上の至宝として知られる本作、河原崎長十郎の浪人、中村翫右衛門の髪結い新三。今さら言う事は何もない。
が、平身低頭で仕官を懇願する悲惨な浪人と、命がけでヤクザの大親分をおちょくるフリーのチンピラ新三のコントラストに、生き方(と死に方)のヒントが見え隠れしている気がする。『とりあえず大企業にぶら下がっていれば安泰 』 な時代の終わった現在においてはますます。
ともかく、天才監督 山中貞雄は日本映画史上に残る名作と、現存しない十数本の作品を撮って戦場に散った。
- Quelle connerie la guerre ! -
上記3作は最強の反戦映画でもあるのだ。
映画が上映されることで、山中監督が、なんで28歳で死ななあかんかったんかとか、作品の中の立ち回りシーンが、なんで抜け落ちているのかとか、冷静な目で見れる今、反戦の意味が宿って来るんですね~。
山中監督の作品、DVD借りて見てみたい思いますね。
いっつも映画について、ここで、すごい勉強になります。ほんまありがたや~。
>山中監督が、なんで28歳で死ななあかんかったんか
ほんま、悔やんでも悔やみきれない。。 ちなみに山中監督小津安二郎と仲良かったそうで、小津監督の「麦秋」でヒロインと彼女と結ばれる男性をつなぐ「戦死した兄」は同監督の面影や、といわれてるそうです。
…ってこの話数年前にも書いたな〜(照;
suguitaj.exblog.jp/5566483/
年配の方が多かったのでもっと若いパリジャンにも知ってもらったらうれしい、てかパリジャンに限らず世界中の老若男女に。こんな天才監督が夭逝しはった歴史の意味と共に。